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日本も増加傾向にあるHIV患者数

実際にHIVに感染したという方が近くにいれば、HIVに関してもっと知識を持とうとか、
今どの位の感染者数がいるのだろう?と考える事もありますが、とても遠い話と思っている人も少なくないでしょう。

実は日本国内にHIV感染者は13000人以上いるといわれています。
しかし海外のように、HIVに対する教育などもそれほど進んでおらず、また日本はHIVに対する初期治療についてかなり遅れを取ったこともあり、
残念ながらこの先HIV感染者は広がりを見せていくであろうといわれています。

こうした中、HIV感染症専門薬剤師が注目を集めているのです。

HIV感染症専門薬剤師とは何か

一般の薬剤師にもHIVに関する知識を深く持っている方はいると思いますが、HIV感染症専門薬剤師はHIVに関連する深い知識と、
現段階の治療や利用されている薬剤などの知識を持っています。

つまり、過去の教育ではなく、現在進行形の知識を持っているのがHIV感染症専門薬剤師なのです。

HIVに対する治療は、日々研究が進められていて薬にしても、治療にしても変化しています。
現在ではHIVが発見されてからしかるべき治療を行う事で、薬を飲み続け治療を継続する必要があっても、
HIVではない方同様の暮らしを贈る事も出るのです。

日々変化しているこうした治療や薬品に関する情報を、常に持っているという事が必要になるため、HIV感染症専門薬剤師が必要となっているのです。

HIV感染症専門薬剤師は定義がある

詳しい定義は日病薬(日本病院薬剤師会)で定義されていますが、簡単にいうと、まずHIV感染症の病態に関する詳細な理解、
さらにこの感染症に使用する医薬品の薬理作用や体内動態等を理解している、抗HIV薬について深い知識を持っている
医師、患者双方にその薬の作用や副作用に関して提案、説明IELTSなどができるという事等が定義されています。

当然、HIV感染症患者の方とコミュニケーションを取る事も必要となりますし何が求められているのか、
また健全な生活のために何ができるのかを考える人材となる事も必要です。

HIVに関して深い知識を持っていること、国内外の情報収集をしっかり行い、その上で確かな情報提供ができる事等、専門性の高い分野です。

HIVは根治出来ない、でも維持できる

HIVは治療できない、いつかひどい状態になって死亡すると思っている方がいますが、HIVは根治出来ないにしても治療によって正常な生活を送る事ができます。
根治にならなくても治療を受け続け、薬を一生飲むことでHIVは維持できる病気なのです。

まずはその理解をしてもらう事が必要ですし、治療と薬を飲むことは一生になるのだという事も徹底して患者さんにわかってもらわなくてはなりません。
病院と一生の付き合いをしていくことになりますので、治療や薬の説明のほか、倫理的なことに関してもサポートしていく重要な仕事です。

お薬を飲み続ける事、治療によって今の体に必要なお薬で対応していくことが大切で、
検査をしなかったり、対応が遅れると耐性ウィルスが出やすくなります。

治療を継続してもらう事、お薬を飲み続けてもらう事は、患者さんを守る事にもつながりますし、感染拡大を予防する事にもなります。
その理解を徹底する事がHIV感染症専門薬剤師の大切な仕事です。

HIV感染症専門薬剤師は高度な知識や経験が必須

HIV感染症専門薬剤師は、薬剤師の資格を保有していれば誰もがなれるという事はありません。

申請するためには、認定薬剤師であること、日本エイズ学会会員であること、学会論文が1編以上、
学会発表経歴が2回以上あること、病院や施設などの所属長の推薦書がある事、さらに、日本病院薬剤師会認定試験に合格していることが必要です。

非常に高いハードルとなるのも当然で、HIVという難しい治療に関わること、またその理解を広める事等、仕事は専門性が高く多岐にわたります。
小学校年代、中学校年代のお子さんたちにも指導を行い、深くHIVという感染症について指導、理解を浸透させることが必要となるため誰もがなれる、という事ではないのです。