調剤印を押す意味と役割

薬剤師が調剤業務を行う際に必要となるのが「調剤印」です。
あまり意識していないという患者も多いかもしれません。
薬局や病院によってルールが異なりますが、調剤印がきちんと押されていることで、後から見て誰が行ったのかということがひと目で分かります。
ただ自分のサインというだけで押しているのではありませんので、薬剤師の業務に欠かせないこの「調剤印」について、その意味や役割について理解しておきましょう。

調剤済みの処方箋には、「1.調剤済み年月日」、「2.保険薬局の所在地及び名称」「3.保険薬剤師氏名印(署名または記名・押印)」の記載が法律で決められています。
処方をする毎に毎回保険薬剤師の署名をするのは非効率的ですので、処方箋には薬剤師の記名と押印をすることが一般的とされています。
署名は、フルネームの手書きの署名、押印は必要とされません。
自筆の署名よりも、個人が特定しやすく容易に特定が可能である為です。

記名については、フルネーム記載(押印やスタンプ可)と名字の押印で大丈夫です。
このことから、薬剤師の印鑑を用意する際には、フルネームの横版判子と名字の丸印の2種類の印鑑が必要になることを覚えておきましょう。

調剤印は安易に押さない

調剤印は誰が押すのかと言うと、それぞれ職場によってルールが異なりますが、調剤をする薬剤師が調整後に薬袋に調剤印を押すことが一般的です。
また、1つの処方箋を複数の薬剤師が担当するケースでは、各自どこに押印するかのルールが必要になります。
その次に調剤者以外の薬剤師によって監査が行われ、その処方箋に対する確認や照合が終了したら、処方箋の指定場所、または欄外に監査印を押します。

薬剤を監査した薬剤師、及び患者対応をした薬剤師、共に責任があることになりますので、患者は薬袋に押印した名前を見て後からその薬剤師宛に問い合わせをしてくるケースがあります。
そういった場合にスムーズに対応、さらに責任の所在を明確にする為にも、誰がどの業務を担当したかについてわかるようなルール作りが大切になってきます。

処方箋調剤は、患者の命はもちろん、保険請求にも大きく関わってくる大切な書類となりますので、誰がどう関わったのか、後からすぐに分かるようにしておくことが調剤印の役割と言えるでしょう。

印鑑で個人が特定できるということは、処方箋の責任の所在がはっきりしているということになります。
その為、自分の印鑑を調剤補助の人が使用する場合には、誰が使用したか後で分かるようにしておく必要があります。
特に考えなしに押印してしまうと、後になって身に覚えがない大きな責任が降り掛かる恐れがあります。
自分の責任において押す以外には、安易に押印することのないよう注意しましょう。