調剤拒否ができる正当な理由

調剤を行う薬剤師は、その要求があった場合に、正当な理由がないかぎり拒否できないと薬剤師法で決められています。
つまり、正当な理由がなければ調剤拒否をすることはできない、ということになりますが、商品の在庫がない、営業時間が過ぎたという理由は、正当な理由には該当しないことになります。
では、調剤拒否できる正当な理由とはどんなものがあるのでしょうか。

例えば、薬剤師が急病になり1人もいないという状況、地震等の天災によって調剤器具が破損した為に物理的に調剤ができないという場合が該当します。
他にも、旅行や近親者の不幸で薬剤師が不在の時、院内処方箋を調剤薬局で受け取ったというケースもこれに該当することになります。
さらに、処方箋の内容に疑わしい点があり、処方した医師や医療機関に連絡を試みるも連絡がとれない場合や、処方箋の偽造が疑われる場合にも該当しますが、確認をしっかり行う努力が求められます。

調剤拒否の注意点

また、薬事法改定により、「薬事法の情報について指導等ができない場合、あるいは、決められた薬剤を正しく使用できないと考えられる場合には、当該薬剤を販売し、又は授与してはならない」とありますので、患者が適性に薬の使用ができない恐れがある場合には、調剤拒否ができるという解釈ができます。

処方した医者等に問い合わせをしても連絡がつかず、適正使用の補償ができない場合や、受付をしたとしても処方箋の有効期限までに薬の用意ができない場合等、どうしても不可能だと判断される場合にのみ調剤拒否をすることができます。

医薬品がない場合の対応は?

薬の在庫がないという理由は正当な理由に該当しませんが、実際にそうなった場合はどう対応するべきなのでしょうか。
最近では、ジェネリック医薬品の普及によって、薬局に在庫がない医薬品メーカーの薬が処方されるケースも出てくるようになりました。
そんな場合でも調剤薬局は患者に対してできうる限り、薬を調剤する努力をする必要があります。
まずは、処方された薬はどこで、どのくらいの日数で手に入るかを確認します。

医薬品卸メーカーに問い合わせたり、近所の薬局に在庫がないかどうかを確認したりします。
処方元の医療機関付近の調剤薬局には、高い確率で在庫がある可能性がありますので、忘れずに確認しましょう。
患者には、現在該当の薬の在庫がないことを伝えて、後日薬が手配できた場合には、改めて来局いただければ渡すことができる旨を丁寧に説明しなければいけません。

あるいは、別の薬局の在庫が確認できれば、その薬局に行くことを提案してみましょう。
このように、薬剤師は処方箋に対応する為に、可能な限りの努力をする必要があります。