ポリファーマシーに該当するケース

高齢になると、服用する薬がどんどん増え、中には10種類以上服用しているケースも珍しくありません。
「ポリファーマシー」とは、一般的に、5~6種類以上の薬剤を服用している状態をさしています。
あくまで「状態」ですので、たくさんの薬剤を服用しているから今すぐ良くないという意味ではありませんので、薬が多い=良くないという思い込みは避けましょう。

中には、数が多いとしても、医師が処方する意図がはっきりとしていて、患者の方へのアドヒアランスも良好、薬の効果も十分に出ており、特に有害な状態にない場合には、介入する必要は全くないと考えてよいでしょう。

問題となるポリファーマシーとは、「有害事象が既に現れている、またはその予見がある場合」「患者の方のアドヒアランスに疑問がある(飲み残しや飲み間違いがある)」「処方の意図が不明で、効果も十分に得られていない薬剤がある」というケースがあげられます。

ポリファーマシーが問題視される理由

超高齢社会の現代社会では、日本の全人口に対する65歳以上の高齢者の割合は約3割となっており、医療費の伸びも高齢者が主になっており、特に75歳以上が目に見えて増えています。
高齢者の医療費が高額になる大きな要因に、複数の薬剤の併用、つまり「ポリファーマシー」が考えられます。
加齢とともに疾患が増え、処方される薬剤も増えた結果ポリファーマシーの状態となり、医療費にも影響を及ぼしているということになります。

また、ある薬剤による副作用が起こっていても、有害事象とは気付かずに、更に別の薬剤が処方されるケース(処方カスケード)も実際に起こっています。
薬剤が増えたり回数が増えることで、飲み忘れや飲み間違いが起こりやすくなりますので、アドヒアランスの低下の原因にもなりますので、大きな問題といえるでしょう。

ポリファーマシーの改善策

ポリファーマシー状態からの脱却を図る為、医科の点数に6種類以上の内服薬を2種類以上減薬した場合に算定できる「薬剤総合評価調整管理料」(250点)が診療報酬に加えられました。
加えて2018年度には、薬剤師による同様の取り組みに6種類以上の内服薬を処方されている患者に対し、薬剤師が処方医に減薬の提案を文書で行い、2種類以上が減薬された場合に月1回算定できる「服用薬剤調整支援料」(125点)も新設されています。

このポリファーマシーの解決策として期待される取り組みは、薬剤師による「現役提案」に対して加算されますので、薬局薬剤師の評価にも繋がると見られています。
ただし、加算を強く意識し過ぎるあまり、患者本来の要望や状態を無視した提案をしないように注意しましょう。
医師と患者、薬剤師が連携を深め、信頼関係を深めながら、薬学的判断による適切な減薬提案を行うように意識しましょう。