調剤過誤とは

調剤事故の中で、薬剤師の過失によって引き起こされたものを「調剤過誤」といいます。
薬剤師としてはやってはいけない過失ではありますが、起こりやすい原因や対応方法を知っておくことは非常に重要なことです。
調剤過誤は、患者の健康に支障をきたし、薬局に対する信頼も失います。

調剤過誤が起こる原因のほとんどが薬剤師の注意不足であり、次いで自己判断や思い込みによる処方ミス、調剤後に行う監査不足、また処方箋の見間違いといった初歩的ミスもあります。
薬剤師の報告不足、指導内容が間違っていたという能力不足、経験不足が原因となってしまうケースも多くなっています。

調剤過誤の3つの原因

調剤過誤を引き起こす原因の1つ、薬剤師の知識や経験不足による問題には、調剤や監査をする薬剤師の精神的・体力的な状態も関係しています。
集中力が欠けていたり、睡眠不足、十分に注意をしていなかった等の原因が考えられ、患者への服薬指導がちゃんとできていなかった、別の医療機関への疑義照会をしていない等、薬剤師の技量以前に性格やモラル、仕事に対する姿勢等も問われることになるでしょう。

次に、薬局や病院の調剤室内の施設が原因で医療過誤が引き起こるケースです。
作業環境が整っていない薬局や調剤マニュルの不備が原因として考えられます。
職場の環境が悪く、更に人間関係も良くないとなると、薬剤師たちの間のコミュニケーションがとれていないことが原因になってしまいます。
あるいは、薬剤師不足による過剰業務や管理者の力量不足、薬剤師教育がちゃんとされていない等、組織の管理体制のあり方も問題になるでしょう。

最後に、物理的なミスによるものがあげられます。
薬のパッケージが似ていたり、薬剤名が似ていて区別しにくい、薬効が似ているもの等はミスを引き起こしやすくなります。
同じ錠剤であっても数ミリグラム異なる薬剤等、1つの薬にいくつもの規格が存在することもあるからです。
このように、調剤過誤について考える時、まずは原因について理解し、対策を考える必要があります。

調剤過誤の法的責任

薬剤師の調剤過誤のケースでは、薬局開設者や管理薬剤師が経営者、管理者として損害賠償責任が問われることになるでしょう。
このケースでは刑事責任は問われませんが、調剤過誤の原因となる薬剤師が個人的に、薬の専門家として患者の健康被害を起こした事に対して損害賠償責任を問われるケースもあるようです。

薬剤師の責任範囲

薬局の解説者や管理薬剤師、勤務している薬剤師は、万一の事態に備えて薬剤師賠償責任保険を利用していることがあります。
調剤事故は起こさない対策が最も大切ですが、不測の事態に備えておくことも考えておきましょう。