医療

お薬は進化と遂げています

お薬は日々進化を遂げています。
特に注目されるのが遺伝子を利用したお薬です。

最近は特に遺伝子に関するニュースをよく見るようになりましたが、遺伝子治療に関しては国も力を入れていて、
研究促進が進められています。

薬剤師として働くうえで、遺伝子治療やお薬に関して、しっかりとした知識を持っておくこと、
また新しい情報に敏感になっておくことが求められるでしょう。

遺伝子とはなにか

遺伝子というと私たちの身体が作り上げられているものと、おぼろげながら理解されている方が多いと思いますが、
遺伝子はさまざまな情報がギュッと詰められている箱のようなものと考えるとわかりやすいです。

私達の身体はたくさんの細胞によって形成されています。
細胞の中に染色体という入れ物があり、そこにDNAが存在しています。

DNAはパソコンでいうならハードディスクでたくさんの情報が詰め込まれているのです。
その中の一つの情報が遺伝子です。

染色体はXとYの形をしていて、人間の場合23対、46本あります。
人間の場合は46本の染色体がありますが、これはそれぞれの生物によって違いがあり、この違いがその生物の形や機能を決定しているのです。

XとYの形で構成されている染色体は男性と女性によって「最後の2個」に違いあり、男性はXY、女性はXXです。

よく遺伝子の話の中にゲノムという言葉が出てきますが、このゲノムという言葉は生物に存在する染色体のセットの事で、
人の場合46個の染色体のセットをヒトゲノムと表記します。

DNA内の染色体の新しい発見

これまでDNAはほとんどが遺伝子で、その為お薬の効果に関しても遺伝子によって決定されていると考えられてきたのですが、
遺伝子に関する研究が進められていくうちに、DNAのうち遺伝子はたった2%にすぎないということが新たにわかってきました。

人のDNAで遺伝子はたった2%にすぎませんが、実は大腸菌などの下等生物といわれる生き物の場合、DNAのほとんどを遺伝子が占めていて、
高等生物になるほどDNA内の「遺伝子ではない部分」が増加していくという事もわかっています。

また、これほどまでに長年、化学が進歩してきている中で、DNA、遺伝子についてはまだまだ解明されていないことが多く、
遺伝子についても近年、DNA内の遺伝子が2%にすぎないこと、遺伝子以外が多くなるのは高等生物になるほど多くなるなどのことがわかってきた状態です。

この先、さらに遺伝子、DNAについての研究が進められていくと思いますが、人類はまだまだDNAや遺伝子について本当に少ししか理解できていないのです。

遺伝子ではない部分の研究による成果

病気を引き起こす要因は、これまで研究者の間で「遺伝子が変異する」などから起ると考えられてきたのですが、
現代では遺伝子ではない部分がどのように病気に関与しているのか?という研究が進められています。

遺伝子ではない部分の研究に関わっているのが、近年話題になっているiPS細胞です。
iPS細胞に関しても、遺伝子ではなくDNAの遺伝子ではない部分が深く関係しているとわかってきています。

遺伝子による研究でお薬が変わる

遺伝子部分を検査することで、「病気になる確率」を出す検査が遺伝子検査ですが、将来的にこの検査についても変化していくといわれています。
遺伝子検査が一躍話題になったのは世界的にも有名な女優さんが、
遺伝子検査により乳がんと卵巣がんになる可能性が高いという事で、予防的措置として乳房切除を行ったというニュースでした。

本当に遺伝子検査を信じていいのかどうか、これがはたして予防につながるのかどうか、この先、さらに研究が進められていく事でしょう。

遺伝子の部分ではなく遺伝子ではない部分が着目されたことで、これから先、これまで見直す事のなかった環境要因についても、
病気に関与があるのではないかと研究が進められて行くと考えられます。
いつか、遺伝子、さらに環境を考慮した治療が病気予防につながっていくかもしれません。

本当にまだ見得ない未来ですが、遺伝子研究が進んでいく上で、各個人の身体の状況に応じたお薬を選択できるという時代になる可能性もあります。