薬局でまたいろいろ聞かれるのはなぜ?

病院へ行くと、医師に逐一症状について話した後に、薬の受け渡しに薬局へ行くと、薬の受け渡しの際に薬剤師からもまた同じことをいろいろ聞かれてうんざりしたという経験はないでしょうか。
具合が悪くて病院に来ているのに、同じことを2度長々と説明しなければいけない状態に疑問に思う方もおられるでしょう。
時間がかかる上に面倒に感じることもあると思います。
なぜ薬剤師は医師と同じようにいろいろ質問をするのでしょうか。

この問いの答えには、法的な理由と倫理的な理由が存在します。
薬剤師には、「薬学的知見に基づく指導」を行うことが法律の決まりごとですので、安全に薬剤を使用してもらう為に服薬指導が不可欠です。
患者の方の話と処方箋に書かれた情報を組み合わせて評価することで、薬剤師は医師の処方意図を判断し、適切かどうかを確認することができます。

例えば、非常に似た名前の薬剤でも、使用目的が全く違う薬剤が処方されていた場合、「症状と処方が適切でない可能性がある」として医師に疑義照会を行い、ダブルチェックすることが可能になります。
どんなに優れた医師であっても、同じ人間ですのでミスを絶対にしないという保証はどこにもありません。

薬効の勘違い、類似した名称、投与量の勘違い等、原因は無数に考えることができます。
このようなことを防ぐ為にも、病院で聞かれた症状について、薬局でも再度聞かれるのはこのような理由によるものです。

薬剤師の役割について理解しよう

薬剤師が薬を渡す際に、薬の飲み忘れはないか、薬を飲んで体調の変化はないか、併用している薬はないか、アレルギー歴や生活習慣まで聞かれることもあります。
薬剤師が様々な情報を患者に質問する理由について理解するには、まず薬剤師の役割や義務について理解しておくことが大切です。

薬剤師は薬剤師法第25条2に「薬剤師は、調剤した薬剤の適性な使用のため(中略)患者又は現にその看護に当たっている者に対し、必要な情報を提供し、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならない」と記載されています。
つまり、薬局で患者に薬を渡す際には、その内容に説明を行い、適切に使用してもらえるように指導することが薬剤師の義務ということになります。

薬を適切に使用して、安全安心な生活を過ごしてもらう為に、薬局にいる薬剤師は患者にいろいろな質問をしているのです。
「一度説明した内容を何度も聞かなくても」「そんな必要はないから早く薬を渡してほしい」という意見もありますが、医薬品は何かが起こってからでは取り返しがつかないことがあります。
薬を安全に使う為の薬剤師の重要な役割として理解することが大切です。